417 『雷影、動く』

1.雷影、動く

「ユギトだけでなくビーまでも。
 ビーがやられるなど信じられん!」

暁、サスケたちに送った偵察者の報告を待つ雷影。
その巨体全身で憤りの雰囲気を醸すほど苛立っています。
ジェイと呼ばれるその偵察者は連絡トカゲを使って、
逐次居場所を報告しているようです。

「敵の居場所が分かり次第、四小隊を送り込み、
 キラービー様を救出し敵を殲滅します。」

雲隠れは隙あらばと交戦する構えです。

「木ノ葉の火影はなぜさっさと抜け忍を始末しない!?
 日向の件ではあれだけ強かだった里が!」

暁の一人がうちはサスケだと掴み、木ノ葉の対応の遅さへも憤る雷影。
ジェイから連絡が途絶え、今までの情報からある程度の場所を割り出し、
大隊一個を使ってでも暁を殲滅せんと考えています。

「それからサムイの小隊を呼べ!
 うちはサスケをこちらで始末する旨の書面をもたせて木ノ葉へ向かわせる!
 そいつの情報も出させろ!」

木ノ葉からうちはサスケについての情報を得て、
いち早く有用な策を練ろうというのもあるのでしょう。

「さらに忍五大国、五影首脳会談の段取りをつける!
 “暁”は絶対に許さん!」

とうとう五大国も動き出す、そんな話へと発展していきそうです。

「オモイ、カルイ。
 雷影様からのお呼びがかかったわよ。」

スタイルのいい美人的なリーダー格のサムイ。

「いったい何だというんだ? もしかしたら何か大変なことが…
 それとも何か…しかられるのか?
 ポテトにマヨネーズつけて食べたのダメだったのか?」

短髪でガタイのいいマイナス思考がちのオモイ。

「オモイ…お前はいつも考えすぎなんだよ!
 そんな事でしかられっかよ!
 どうせプロテインの買い溜めに行かされるぐらいだよ。」

ラテン系の整った顔立ち、気が強いカルイ。
オモイとカルイのやりとりに肩が凝ると半ばため息がちなサムイが引き連れるこの小隊は、
どうやら木ノ葉へと遣わされる使者のようです。
雷の国雲隠れの里の人たちは雷影をはじめ
褐色系統の肌を持つ人が多く、
中にはサムイ、ユギトのように白人のようなタイプもいることから
ブラジルなどの中南米、あるいはスペインといった国のイメージ(私の勝手な想像で僭越ですが)が浮かびます。

2.仙術修行

ナルトの仙術修行も油無しで自然エネルギーを感じ取る修行へ。
微動だにしないことが基本のようですが、どうやら難しい様子。

「戦う時にはここの油持っていけばいいじゃん!
 そうすりゃ自然エネルギーを油なしで取り込む修行も必要ねーしさぁ…」

とナルトが提案しますが、それは無理である様。

「ここの油は妙木山の気候以外ではすぐに蒸発して気化してしまうのじゃ。」

妙木『山』というほどなので高所なのでしょうが、
空気圧も低くなり*1その分油を構成する分子も動きやすくなるために、
逆に気化しやすくなると考えられます。
ポテトチップスなどの密閉された袋を、
飛行機が高度の高いところを飛んでる状態で見てみると大きく膨らんでいます。
これは内外の気圧差に勾配ができ、
航空機内部の気圧よりもポテトチップスの袋内の気圧が高いために、
ポテトチップスの袋の中の空気の外側へ押す力が顕著に現れるようになったためです。
油の気化も基本的に同じで、液体中にある油分子が空気圧に勝って、
液外に出て行くことができるようになった(=気化)状態です。
妙木山という特殊なフィールドにあっては、蝦蟇油に対するこの現象は逆で、
おそらく妙木山に満ちているチャクラ、自然エネルギーがかかわるものと推測されます。

「ナルトちゃんはまだ集中力が甘い!
 なめきっとる! ワシについて来い!」

ナルトに微動だにしないことを身につけさせるために、
岩の剣山の一針に石の座布団をひかせ、
針の先端で座布団をぐらつかせないような修行に入ります。
バランスのとれる一点で動かず、自然と調和する。
しかしいきなりナルトはできず、岩針に刺さる前にフカサクに助けられます。

自然エネルギーを取り込むのは“動くな”ができてからじゃのう!」

まだまだ修行は続くようです。

3.鷹

水月もどうやら無事のようですが、首斬り包丁は置いてきてしまったようです。
香燐の火傷も治癒したらしく、いつものように毒舌を吐き散らしています。

「お互いを庇い合ってそうなった…
 オレ達は水魚の交わりというべき仲間だ。そういがみ合うな。」

どうやら鷹のメンバーに連帯感がでてきたようです。
他方、サスケは尾獣の力を取り入れるかどうかについては、否定的なようです。
万華鏡写輪眼――、その凶悪なほどの凄まじさを、
サスケは木ノ葉を充分潰せるほどだと見込みます。
しかし、万華鏡の反動はすでにサスケの眼を相当傷つけているようです。
水の入ったグラスを掴み損ね、物が二重に映ります。

*1:高所にいくほど空気の密度が低くなるため