416 『ド根性忍伝』

今回は長くなるので二部構成にさせていただきます。
続きは【憎しみの連鎖を断て、諦めない想い(i)】へ。

3.憎しみに囚われし者

八尾をどうにかとらえることに成功した鷹。
キラービーをトビに渡します。
サスケは身体を休めてから木ノ葉へと向かうよう。

「一つ大切な事を聞く。
 イタチの生き様を知ったお前がイタチの意志を継ぎ
 木ノ葉を守るという考えもある。
 …本当の事を言え…お前はどうしたい?」

トビもこの場面でサスケの言葉からまんまの真実が出てくるとは思っていないでしょう。
しかしある程度はサスケの意志をはっきりさせたいと考えているのか、
イタチというワードを出し、サスケに問いかけます。
ところが、予想外にもサスケはその心中を、木ノ葉に対する憎しみを吐露します。

「イタチはオレに命をかけて里を守る生き様を見せてくれた。
 だがオレにとってはそんな生き様よりもイタチを失った哀しみの方が深い…
 どうしようもなくな。」

サスケはあれほどまでに憎しみを貫いてきたイタチを失ってしまったことが、哀しいといいます。

「イタチを犠牲にした平和などオレの望むものじゃない。
 真実を知った今イタチの生き様を継ぎ木ノ葉を守る事などオレには到底できない。
 そして上層部の三人は絶対に許せない。イタチの命を代償にして
 ヘラヘラと平和を満喫している木ノ葉の連中も同罪だ。

サスケは今度は憎しみの矛先を木ノ葉にかえて、
また憎しみの中で生きようとしています。
憎しみが憎しみを生む、そんな闇の中をサスケは進んで突き進もうと、
いやもうその泥沼から抜け出せなくなって突き進むしかないのかもしれません。
木ノ葉の上層部だけでなく、木ノ葉全員を消そうと考えます。

「それは本当か? あれだけの生き様を見せられてイタチの意志…
 守ろうとしたものを無にしていいと。
 本気でそう思えるのか?」

自分の人生を弟のサスケと里の平和のために捧げたイタチの意志。
トビはサスケの意志を確認するように訊き返します。
しかしいまのサスケにとってはそれがどんなに重き想いか理解できていないようです。

「アンタは言ったな。イタチがどうしてオレを殺せなかったのか。
 イタチにとってオレの命は里よりも重かったからだと。
 オレも同じだ…。オレにとってイタチの命は里よりも重い…。
 それだけのことだ。
 …うちはを差別し! 両親を兄弟に殺めさせ! 
 そのイタチを追い込み殺した上層部も!
 そして千手を慕う木ノ葉の連中も! 全てがクソのはきだめだ!
 全てが復讐の対象だ!!」

「〜のために」でなくて「〜のせいに」挿げ替えては一言目には復讐。
そうやって復讐に取り憑かれてしまったサスケは、
もう人の想いなど到底理解できようはずもありません。

「イタチの意志を受け入れるなどキレイ事だ。憎しみを知らぬ者共の戯言だ。
 もしオレの生き様を否定するような奴らがいるなら、
 そいつらの大切な人間をかたっぱしから殺してやる。

独善的かつ狂乱めいて、
生命を、仲間やつながりを、大切なものを理解できない。
人でなしめいたことをサスケが口にしているのは悲しいですね。

4.雷影

一方雲隠れの里。
キラービーが暁に連れ去られ、その一味にうちはがいたという報告を受ける雷影。
逞しい体躯につくりの大きい顔。
憤怒で見開かれた目はさらに力強さを増します。

「我が弟よ。待っておれ!」

憤慨した雷影はとうとう自ら出向くようです。