1.トビの正体

トビという存在についての疑問は、過去の記事でも何回も話題にしてきました、
さて、【ナルト世界の謎に縺れる】にコメントをくださる方々(多謝m(_ _)m)のうちの一人、
berryさんによれば、トビは輪廻眼を持っている、
あるいはペインと何かつながりがある――といいます。
実は【トビについて6】*1で、
ペインのトレードマークとも言える痛々しい黒いピアスがないこと、
ペインとは明らかに人格が別であること、
そして何より写輪眼を持っていることなどから、トビはペインでないとしました。
――が、一概にペインや輪廻眼と関係ないとは否定できません。


トビは話数が進むにつれ、“マダラである”という雰囲気が色濃くなってきました。
しかし、マダラであるならなぜ片方しか仮面に目の穴がないのか――です。
この一つしかない穴は、いろいろ類推を呼びました。
片目しかない――ナルトのストーリーラインでカカシの片目写輪眼の由来となった
オビトの存在がその正体として浮かんできました。
また片目をグルグル巻いた包帯で隠されているダンゾウなども
候補にあげられました。
ところが、トビの写輪眼はマダラであるという説明が通ることで、
オビトやダンゾウが正体であるという説は、
これらの人物である必要性がなくなり一蹴されてしまいます。
しかし、それはトビの正体を類推するに及んだ、

  • なぜ片目だけの穴を持つ仮面を被っているのか

という根本的な問題を覆い隠してしまうことにもつながりました。


マダラという人物はストーリーライン上で、何度も顔を見せています。
しかし、トビはその素顔を分かる形で見せたのは、
402話現在のところ、397話『真実を知る者』のみです。
しかも、全部ではなく右側半分だけです。ここでも左側は秘匿されています。
つまり、トビの左側に何らかの秘密があることが強調されているように思えます。

2.トビの左側

トビ=マダラとは断定できませんが、
マダラの過去や思想を詳細に語っていることから
“マダラでもある”という視点で話を進めます。
“マダラでもある”とはつまり、マダラの精神を有するが、
その肉体はマダラではない別物である可能性を意図的に言い含めた表現です。
ところで、仮面を外し天照の炎に包まれ苦しみ悶えるトビですが、
最終的には何事もなかったかのように仮面をとり、
天照を避けるためか見せかけた素顔をまた隠します。
トビは自分をすり抜けさせる、カカシが分析するに、
四代目以上の時空間忍術を有していると考えられるので、
天照の炎から逃れる術があったのは分かりますが、
のた打ち回るような動作を見せたこと、
そして七日七晩燃える漆黒の炎を纏いながら
これに対して全く無事であることから、
トビは驚異的な回復術を使ったと考えられます。
これは斃したと思っていた六道ペインの三体が何事もなかったように蘇り、
自来也の前に姿を現した描写に似ています。
少し強引ですが、もしもペインのこの能力を使えたと考えたなら、
この話はたちどころに解決しそうです。
つまり天照の炎で不意打ちを喰らっても、
マダラの転移能力で天照から逃れ、ペインの能力で回復したと考えるのです。
トビが左側を隠すのも、ペインにつながる何かがあるため――ではないでしょうか?
(もちろんこれはサスケに対して隠したわけではなく、私たち読者に対してでしょう。)
そう考えるならトビとはペインなのでしょうか?
これは先述した通りです。
そうだとするなら九尾を狩れという命令をマダラがペインに与えたことや、
ペインだったとするなら九尾(ナルト)を前に何のアクションもせず、
うちは兄弟の戦いを優先し、すぐに姿を消してしまったトビの行動は不可解です。
マダラとペインの会話や関係をみると、
それぞれ独立した思考をもつ、別々の人物だといえます。
あくまでペインとは切っては切れない人物で
ペインの能力を有している可能性すらある――と考えた場合なのです。
そしてそう考えるなら、同時にいくつかの疑問への答えも出ます。

「オレは復讐者となり木ノ葉隠れの里に戦いを挑んだ。
 そしてオレは敗れた…。“終末の谷”と呼ばれるようになったあの場所でな。
 オレはあそこで死んだとされている。柱間でさえそう思ったハズだ。」

「オレはあそこで死んだ…とされている」の“…”
考えるように間をおいたこの“…”が気になります。
ペインにはある人のチャクラが分割されれば、
媒体を利用してその人自身にさせることができる象転の術があります。
チャクラの供給源さえあれば、変化の術よりも遥かに精細に、
目的の人物に成りすますことができます。
この場合、マダラのチャクラを手に入れていれば、
つまりマダラの写輪眼があれば、マダラをあたかも蘇らせることができます。

「いよいよだ…我らが目的を達成するのもあと僅か…。
 そうなれば全てが本来の形に戻るのだ…。
 写輪眼の本当の力が…このうちはマダラの力が。

ただし、マダラのチャクラが弱すぎるためか、完璧なマダラたることはできない――
マダラ本来の力に達していないのです。
そして“象転の術”である綻<ほころ>びや歪みが、
あの仮面の左側に隠されているのではないでしょうか。
その分、ペイン自身の能力が何らかの形で付加された――
とも考えることができます。