398 『木ノ葉のはじまり』

サスケとマダラの扉絵。
操られていることを表しているのか、
鎖の轡<くつわ>に繋がれた九尾の妖狐、そしてその眼には写輪眼があります。

1.木ノ葉のはじまり(1)

イタチが何故“天照”の仕掛けをしたのか。
イタチはどうしても自分と引き合わせたくなかった、そうトビは察しています。
その理由とは…

「イタチの真実を知る者は木ノ葉のダンゾウと三代目火影
 そして相談役の二人ホムラとコハルの四人だけだった。
 三代目が死に…今それを知るのは年寄りばかり三人…
 奴ら三人はこれからも先も絶対にあの忌まわしい事実を口外しないだろう…
 イタチの真実は永久に闇へと消える。そしてイタチもそれを望んでいた。

イタチは自分の全てを捧げてでも守りたいものを守ろうとしました。

「あの夜…奴がうちは一族を皆殺しにしたのは事実だ。
 そして木ノ葉を抜けた。」

イタチが一族を皆殺しにしたのは事実。

「そしてそうすることが木ノ葉から下された任務だった。」

それは木ノ葉のため、任務だったのです。
思い起こせば、父と兄の確執を幼いながらに感じ取り
サスケが手裏剣術を教えてもらいたいと言って、
兄の気持ちを確かめようとしたとき(25巻124ページ:223話『サスケと父』)
イタチはとても憂鬱な顔をしています。
これから任務の為、一族の人々を殺さなければならない――
覚悟を決めかけていたところに弟が飛び込んできたので、一瞬心がぐらついた――
それでも決心せねばならなかった様子が描かれているようにも思えます。
【変貌と疑惑8・事件の核心、不自然な犯人】*1においては、
この事件の捜査が進展していないことに疑問符を掲げ、
暗部によるうちは一族の“粛清”があり、イタチも粛清を遂行する立場にあったとしましたが、
やはり、木ノ葉から下された任務であったことが事実であるというなら、
一族皆殺しの理由――それはあの一族の秘密の集会と切っては切れない関係にあるものと思われます。
そしてその任務に同行する形をとったマダラは、
木ノ葉の中枢と何らかの関係があると見てよいでしょう。

「イタチは犠牲になったのだ。古くから続く因縁…その犠牲にな。」

憎むべき兄のみを信じ、信じたくても信じてはならなかった優しい兄。
しかしそれが真実だったと聞かされ、
兄イタチの姿が走馬灯のようにサスケの脳裏を駆け巡ります。
自分がしてきたことの意味を見失ったように、ひどく狼狽するサスケ。
マダラはそんなサスケを拘束して冷静にさせ、再び話をはじめます。

2.木ノ葉のはじまり(2)

八十年以上も前。戦いの絶えない戦国時代。
忍が一族単位の武装集団であった頃、様々な忍がひしめき合う中、
最強と恐れられた二つの一族…それがうちは一族、そして千手一族です。
うちは一族はその卓越した写輪眼の力で、
あらゆる戦闘に長けた戦闘一族として名を轟かせていたようです。
そんな中でマダラは特別に強いチャクラを持って生まれてきました。

「しぶとく生きながらえているのが、その証と言ってもいい。」

マダラはその特別に強いチャクラのおかげで、現世までその存在を保ち続けているようです。
力がモノを言う時代にあって、マダラは強い力を求め続け、
友や弟を手にかけたこと、そのお陰で永遠の万華鏡写輪眼を手に入れたことを明かします。
その力を用いて、幾度となく繰り広げられた千手一族との戦い、
特に千手一族の長、千手柱間――
後に初代火影となる、忍の世界の頂点に君臨しうる実力を持ち、
マダラの憧れでもあった人物について話し始めます。