341話『修行の成果…!!』において、
ナルトとサスケの対立を風神雷神の対立に見立て、
俵屋宗達という人が描いた風神雷神(こちら)に似た構成で、
この扉絵は描かれています。
雷神が向かって左、風神が向かって右に位置し
同じようにしてサスケ、ナルトが配置されています。
しかし、よく見てみると、この扉絵は風神雷神図とは少し違うところがあります。
まず風神と雷神がにらみ合うように対立しているところ。
そして二人を象徴するように、
風神の周りには旋風<つむじかぜ>で渦巻がつくられ、
雷神の持つ太鼓には写輪眼と同じく三つ巴が描かれています。
これはナルトが風の性質変化、風遁を持つのに対して、
サスケが雷の性質変化、雷遁を持つことをよく象徴して描かれていてます。
これらのことに関して、少し掘り下げてみたいと思います。

1.風神

風神は持っている袋のようなものを鞴<ふいご>のようにして風をおこす
風を操る神として風神雷神図では、
一角のような角、筋骨たくましい鬼のような姿で描かれています。
鞴は気密空間の体積を変化させ、空気の流れを生み出す送風装置の一例ですが、
風神はこの大きな風袋の両端を両の手で閉じて、
空気の通り道を細くしながら、両手を内側へ、
中に閉じ込めた空気を圧縮するようにして、風を起こしていると考えられます。
この空気の圧縮という動作は、
ナルトの螺旋丸における第三段階や、
風の性質変化における薄く研ぐようなイメージ(強い空気の流れをつくるイメージ)
と合致しないでもありません。


2.雷神

雷神は雷鼓という太鼓を打ち鳴らし雷をおこす
雷を操る神として風神雷神図では、
牛のような角を持ち、虎縞のふんどしを締めた鬼の様な姿で描かれています。
雷様<かみなりさま>、雷電<らいでん>、鳴神<なるかみ>、雷公<らいこう>
と古くは呼ばれていました。
また菅原道真が死してその怨念が天に満ち雷になった、
という逸話から、天神となりましたが、
天神とは火雷天神、すなわち雷神のことです。
天神は道真が生前、勉学に励み、秀でた学識を持っていたことから
学業に関する神様としても有名です。
さて、“火雷”天神が雷神を表すというのなら、
サスケをあらわす雷神の絵は単に雷の性質変化だけでなく、
火の性質変化をもつサスケをより象徴的にあらわしていると言えないでしょうか?
少し横道に逸れますが、太鼓に関しても興味深い話があります。
祭りや儀式に用いる三つ巴紋をもつ和太鼓は広く知られるところです。
ところで神社の儀式等で使用する太鼓には、
巴の数が3つのもの、2つのものを用意する場合があります。
三つ巴と二つ巴の太鼓は、それぞれ奇数(陽)と偶数(陰)
陽と陰をあらわし、太陽と月の関係に見立てる考え方もあるようですが、*1
だとするならば写輪眼は三つ巴、陽の性質変化が関係するのでしょうか?