天照の炎が黒い理由はなぜでしょうか?
神話的側面、科学的(?)側面の2通りの観点から
話を展開していこうと思います。
今回は主に神話的側面からのお話です。
参照元:『ウィキペディアWikipedia)』

1.八咫烏太陽黒点

別館【ナルト世界の謎に縺れる】に
お寄せいただいているコメント(多謝。m(_ _)m)の一つ、
モルダさんからの情報によれば、
八咫烏と呼ばれる伝説上の三本足の烏が、
イタチの烏、そして太陽の黒点と関連があるといいます。
そもそも太陽の黒点とは、太陽表面を観測したときに
黒い点を散らかしたように見える部分のことで、
実際にこの部分も光を放っているのですが、
周りの部分に比べるとはるかに弱い光なので、
相対的に黒く見えるという部分です。
太陽の磁場等の関係で、黒点表面の温度は約4000℃。
太陽表面(光球)平均温度の約6000℃と比べて低音ですが、
それでも約4000℃もあります。これが天照の炎の正体だとしたら、
普通の炎を飲み込む、まるで火から火が出るような描写にも合致するでしょう。
一方で、この黒点を肉眼で観察できる時もあり、
この黒点は観測する度に移動していたため、
昔の人は太陽にカラスなどの動物が住んでいると考えていました。
この太陽に住むカラスは八咫烏<やたがらす>といい
太陽神を象徴する意味合いも兼ねて、
神聖な存在として崇められるようになりました。
天皇家初代・神武天皇(=カムヤマトイワレビコ)の元に遣わされ、
熊野*1から大和*2への道案内をしたとも言われています。
天照大神御子神天忍穂耳命アメノオシホミミノミコト)と
高皇産霊神タカミムスビノカミ)の娘と結婚しニニギノミコトを生み、
このニニギノミコト天照大神の命により、葦原中国*3統治に際して、
イザナギイザナミ夫妻の子である大山祇神オオヤマツミ)の娘
木花之開耶姫(コノハナノサクヤビメ)を娶<めと>り、
海幸(ホデリ)、山幸(ホオリ)を生みますが、
その海幸の孫が神武天皇にあたります。



したがって、神武天皇が天照(太陽)の遠い親戚にあたるわけですが、
その元に太陽の使いである八咫烏が現れたという逸話は納得できます。
その他にも八咫烏は金鵄(きんし)と呼ばれる金色の鳶とも関連があるようで、
トビとの何らかの関連もあると考えられます。
金鵄は神武天皇が熊野から大和への東征に際し、
神武天皇の構える弓矢にとまり、金色の目映い光を放って敵の目を眩ました
という逸話があり、金鵄勲章はこの逸話に乗っ取って、
栄誉ある軍人に授けられていたものだそうです。
また八咫烏日本サッカー協会のシンボルとして、
金鵄は高校野球の全国優勝旗などに描かれています。
一説には金鵄は中国の金烏から来ており、これは八咫烏と同義であり、
金鵄と八咫烏は同じだとする場合もあるようです。


このようにイタチの烏は、死や暗黒を示すと同時に、
太陽の使いと考えることもできます。
そう考えた場合、天照の炎がやはり太陽に関係があると考えられるでしょう。
またトビ(鵄)とイタチ(烏)の関係もこの話に準<なぞら>えてみると、
天照という技はトビ(=マダラ?)からイタチに受け継がれたのでは――
という関係性も考えられなくはありません。


2.黒点の炎は黒くない?

太陽の黒点による炎、
それが天照の七日七晩燃え続けると言われる炎であるなら、
温度の観点では納得がいくでしょう。
漆黒の炎がイタチの焦点にあわせて燃え上がる理由は、
その焦点に黒点の炎が“貼り付けられる”と考えることもできます。
ところが一つだけ問題が生じます。
黒点の炎は相対的に、まわりと比べて暗いのであり、
決して黒いという訳ではありません。黒点での炎は光り輝いてるのですが、
そこに比べてまわりがとても明るいために暗く見えるのです。
白昼外で豆電球をつけても暗いと感じるのと全く一緒です。
幾億とある光を放つ恒星があるにも関わらず宇宙空間が漆黒に包まれるように、
すなわち夜が暗く黒く見えるように、
照度が小さい、可視光の量が少ないために暗く見える場合とは少し様相が違うのです。
このあたりは次回へと続きます。

*1:【熊野】:現在の和歌山県南部から三重県南部に跨る地域

*2:【大和】:現在の奈良県三輪山の西麓・南麓から西方に拡がる地域

*3:葦原中国(あしはらのなかつくに)】:高天原と黄泉の国の間にあるとされる世界。人間の住む地上世界を指すと考えられる。