1.ダンゾウとマダラとトビ(1)

ダンゾウは暗部養成部門“根”を統括し、
かつては火影の座を巡って猿飛と対立していた
合理的思考に基づく強硬・武闘派路線の主導者、
という急進派の人物です。

「ただ其奴…揉め事嫌いで腰の引けた三代目の教えが……
 染み付いてなければいいんだがな。
 三代目に染み付いたアナタのおじい様の教えのようにね。」

【うちはマダラ4・野望と九尾事件および一族事件】*1でも触れましたが、
暗部のもう一人のメンバーに関して、綱手に苦言を呈する場面。
ダンゾウと対立していた穏健派猿飛に影響を与えた綱手の祖父、
すなわち初代火影もまた穏健的な考えを持っていた可能性が高いといえます。
また、そうであれば、里の方針をめぐって対立した初代火影とうちはマダラ。
うちはマダラも急進派であったと考えられるでしょう。
このように、ダンゾウとマダラは似通った考え方をしていたこと、
その他にも髪型や目の下の鬱血<うっけつ>などマダラではないか、
と思われる気にかかる場所がいくつかあります。特に、

「写輪眼の本当の力が…このうちはマダラの力が。」

という場面で、雷光とともにトビの仮面の穴から写輪眼を覗かせる場面。
トビが純粋にマダラであるとするなら、
“右目”に写輪眼があるという情報が、
どうにもダンゾウの右の顔に巻かれた包帯の内側、
写輪眼があるのでは…という疑念を抱かされます。


2.ダンゾウとマダラとトビ(2)

しかし、いくつかの矛盾点が存在します。

「いい感じだ…写輪眼の力を十二分に発揮していた…
 …アレはイタチ以上の目になる。」

「次の脱皮で蛇のままか、それとも鷹に変わるか。見モノだ…サスケ。」

そもそもトビは何らかの目的でサスケの成長を望んでいるようです。
ところがダンゾウがサイに命じた極秘任務は大蛇丸の器となるサスケの暗殺。
ダンゾウが根で自ら育て上げてきたサイに一任する案件ですので、
そこにはダンゾウの本意が見て取れなくもありません。
このままでは木ノ葉の里に対して災厄となりうると判断した――、
つまりサスケの成長は願っていないのです。
百歩譲って仮にこのサスケ暗殺が、
サスケへの試練として用意したとしても、
ダンゾウがマダラ、あるいはトビであったなら、
暁を脱退した大蛇丸の暗殺を試みないのはおかしいでしょう。
長年手を焼いてきたはずの大蛇丸を、
こんな絶好の機会に始末しない手はないでしょう。
ところがダンゾウはそれを望まず、敢えてサスケを暗殺する手段を選びました。
これはサイの力量が大蛇丸に対しては不足であると考えた上での命令でしょうが、
ならば大蛇丸を確実に暗殺できるメンバーをサイの代わりに用意するか、
でなくばサイのいるヤマト班と並行して別に部隊を編成することもできたはずです。
ところが、そんな気配はなかった。
マダラあるいはトビ自体が大蛇丸の暗殺に関しては、
どうでもいいと放っておいた可能性もありますが、
暁の最高責任者的存在でありながら、このような態度をとるだろうか、
というのは甚だ疑問だともいえます。