1.トビ≠オビト?

さて前回トビ=オビトについて、オビトは右眼を潰されていないとして考察しましたが、
27巻160ページの岩が右前頭葉を潰している描写のみを考えると、
右目もおそらく無事でないだろうと思われます。
その他にも、オビト自身が、

「体の右側はほとんど…つぶれちまって…、…感覚すら無ェ…」

と言っているので、右半身に目が行きがちですが、
よく見てみると無事なのは左胸から鼻を含む顔の左半分。
ですから、右半身だけでなく、左下半身も感覚は残っていたかもしれませんが、
ほぼ動かすことができないほどの損傷を負っていたと思われます。
そう考えてみると、トビはやはりオビトであるとは考えにくいというのも事実でしょう。
しかし、そうであるとしてもやはりこの問題は同道巡りであり、

  • 〈トビのひょうきんな調子と野心を秘めた厳かさ〉

矛盾したこの二つの態度どう説明するかが難しくなります。

2.トビは誰?

ところで、トビは写輪眼を持っていますが、うちは一族と見て良いのでしょうか?
うちは一族、というのはイタチが起こしたとされる一族虐殺事件によって、イタチとサスケをおいて他にいない、
というのが一般となっているようです。
これは猫バアとのやりとりを見ていても、そうであるということが暗に仄めかされていることがわかるでしょう。

「今やうちはもお前たち二人だけ…。それが殺し合わにゃならんとは…」

しかし、一族を飛び出して、抜け忍になった忍びもうちは一族の中には数人いたと思われます。
そしてうちは一族と名乗らず、新たな名前の一族として他の里で興隆した可能性もあるでしょう。
こういった世間で知られる一族の滅亡とは、完全なる滅亡でないことが往々にしてあるのです。
となると、トビというのもこういった外側に流れていった、知られていないうちは一族の一人なのかも知れません。
そして何らかの形で、うちは一族の始祖であり、絶大な力を誇っていたマダラの力を欲していた――
とも考えられるのです。

3.ペインとトビ

ペイン(=長門)とトビ(≒マダラ)。

「それからトビ。お前はいつも一言多い。先輩は立てろ。」

とペインに言われながらも、

「お前が狩れ。リーダーとして失敗は許さん」

とペインに対して、上からの物言いをしています。
デイダラと共にサスケと戦い、死んだ(?)ことになったときも、
ペインからはかなり冷たく言われていますが、

  • 〈ペインのトビへの扱いの矛盾〉⇔〈トビの態度の矛盾〉

と考えるとして、すなわち表向きにひょうきんに装っていたトビはペインより下位で、
本性をあらわした場合はペインと同格かそれ以上であるということは、すなわち、

  • トビに裏表がある理由をペインは知っている

ことになります。つまりは、

  • トビが表向き暁のあたかも下部メンバーとしてひょうきんに振舞っている理由

をペインは知っているはずなのです。
この視点に立てば、トビ≠オビトでも、何か妥当な理由があるはずです。
いずれにしろその理由とは暁という組織から切っても切り離せない理由のはず。
一つ考えられるのは、メンバーの誰かを監視していたのではないか? ということ。
殊に考えられるのは、ツーマンセルを組んだデイダラを監視していた、とするのが自然でしょうか。
しかし、デイダラは裏切る様子もなかったし、事実、最期は暁のメンバーとしてサスケに敗れ、
自ら死を選んで自爆したわけですから、
トビがデイダラの人格を読めずに最期までそうであったとは考えにくい。
また、デイダラ以外の監視であったとしたら、それは効率的ではないでしょう。
ですから、誰かの監視とは考えにくいわけですね。
逆に言えばツーマンセルを組む相手は誰でも良かった――ともとれなくはない。
ゼツに暁入りを志願する以前からペインと知り合いであった(=暁のメンバー)と考えられますし、
ペインよりも上の話し方をする理由、自分の素性を一部のメンバー以外に隠しておく理由など諸々を考えると、

  • トビはペインの前の暁のリーダーであったが、何らかの理由でメンバー間で死亡したことになっている。

とも考えられるのではないでしょうか?