1.風が雷に優勢であるのは何故か?

風は大気の流れですが、
ナルトの世界の中ではチャクラによっても
引き起こされる空気の流れとしてとらえることができるでしょう。
一般に風は気圧差によって主に引き起こされます。


(運動)エネルギーをもった空気分子はたくさん動くことができ、動ける範囲も大きいです(=温度が高い)が、
エネルギーを持っていない空気分子はその分だけ動ける範囲が狭くなります(=温度が低い)。
この結果、空気の密度(単位体積あたりの質量)に勾配ができて、
エネルギー持っていない分子ほど下に集まり(=重い=高気圧)、
逆にエネルギーを持っている分子は上の方でより自由に飛び回ります(=軽い=低気圧)。
つまり温度が高いものほど上の方へ、低いものほど下へという流れができます。
これが気圧差の正体であり、
気圧が高い=単位体積あたりの空気分子が密である
気圧が低い=単位体積あたりの空気分子が疎である
ということです。
したがって自然に上にある冷たい空気から
下にある暖かい空気へという流れが生じます。
熱を下方に与え続けると、
降りてきた下方の不活発な空気が活発になり、
一方で上方の活発だった空気が冷やされ不活発になり、
また空気の流れが生じます。
このように圧力差(気圧傾度力)が生ずることで、
空気分子は循環する(=対流)のです。
対流は複雑な運動ですが、大きい流れができるとそれに従うようになります。



気圧差は流速が増大するとは圧力が減少するというベルヌーイの法則によっても示せます。
暖かい空気は空気分子がエネルギーを持っている分だけ、
その空気分子の速度は速くなります。したがって、圧力は小さくなります。
一方で冷たい空気はエネルギーを持っておらず、
空気分子の速度は遅くなり、その分だけ圧力は大きくなります。


密度については、このように空気の速度を考えると
ある時間において暖かい空気と冷たい空気の同じ体積の空間を切り取ったとき、
暖かい空気だと空気分子の数は少ないですが、
冷たい空気だと空気分子の数は多くなるので、
暖かい空気ほど密度が小さく、冷たい空気ほど密度が大きいのです。

気圧が高い方から低いほうに、空気が流れる仕組み、 これが風に他ならないわけです。 では、風の仕組みがわかったところで、 風の性質が雷の性質に対して優勢であるとはどういうことかを考えます。 【千鳥2】 *1でも扱いました。 電流は電位(電気の世界で言う高低をあらわす概念)の高いところから低いところへ流れるのでした。 さらに電気的抵抗が少ない方を好んで多く流れる性質を持っています。 今回関係があるのは後者の性質です。 空気の流れがある場合とない場合とで、電流の流れは変化します。 空気の流れがあるということは、その分だけ、電流を妨げる障害物にぶつかりやすくなります。 障害物競走と普通の競走で同じ100メートルを走った場合、当然普通に走った方が、 ゴールに着く時間は早いですね。 また川の向こう岸にいくのに、川を渡る方法と、橋を渡る方法があったとします。 どちらを通っても距離は同じです。 川の流れに逆らって川を渡って向こう岸に辿り着くよりも、 橋を渡って向こう岸に辿り着いたほうが、楽な上に時間も早いでしょう。 電流も全く同じことです。 つまり風(=空気の流れ)は雷(=電流)の通り道を阻害するのです。 風は常に一定に同じ方向に吹いているとは限りませんから、 雷はやがて風の弱い隙間をぬって(=抵抗が少ないところを通って)地面に到達しますが、 進路を大きく曲げられてしまうのです。 これはある一定の作用(雷:電流が流れる)に対し、それを阻害する(−の変化)ことにあたります。 こういった意味で風は雷に対して優勢なのでしょう。 風が弱くて(=抵抗がほとんどない)、電流が非常に強ければ、 その抵抗はほとんどないと見なせるので、阻害効果は薄いでしょう。 したがって雷が風に対して踏ん張ることも考えることができます。

2.雷が土に優勢であるのは何故か?

今度は先述した〈電流は電位の高い方から低い方へ流れる〉という性質を用います。

雷の標的の大部分はいつも地面(=土)です。
地面でない場所、例えば避雷針に落ちた雷もやがて地面へと流れていくのです。
家電製品のアースも、電流を地面に逃がすことを目的とします。
言い換えれば土の性質変化は雷の性質変化による影響を100%受けてしまうのです。


巨視的に見れば、地面に衝突した電流は、四方八方に分散していき、地面全体には被害がありません。
ところが、性質変化の優劣として見るなら、

  • 電流(=雷)は地面(=土)の方向を選り好んで流れる
    • →地面(=土)は電流(=雷)(のダメージ)を100%もらう

と考えれば、
これはある一定の作用(雷:電流が流れる)に対し、
それを助長する(土:100%を阻害なしに受けてしまうという+の変化)ことにあたります。
したがって雷の性質変化は土の性質変化に対して優勢だと言えるのでしょう。



実は地面が高電位で、大気が低電位となる場合に、
地面から雷が遡っていくという現象があります。
(夏場はこちらが一般的なようです。)
これは地面からのささやかな抵抗ともとれるでしょう。(笑)
というわけで、土が雷を返すと見て、
術者の土の変化が相手の雷の性質変化に対して非常に強ければ、
なんのその、という場合もありえます。