〈影分身の術〉とは〈分身の術〉とは違って、実体そのものを作り出すという忍術ですが、
攻撃を受けると消えてしまう、あるいは術者の意志などで自在に消せるなどのことから、
実体とはいっても、実体に似て非なるものと考えられます。

1.均等チャクラ配分における影分身の最大チャクラ量q_{max}

〈影分身〉はチャクラを練ることで、もう一人の自分を形作るわけですが、
カカシの説明にもあるように、自分のチャクラを分割するような形になるようです。

仮にチャクラを分割するだけで影分身がつくれたとしましょう。
術者の総チャクラ量Qに対して、
術者と同じチャクラ量のn-1人分の影分身を作るとすれば、
術者の残存チャクラ量は Q/n に他なりません。
しかし理論的には、全ての影分身のチャクラ量と術者のチャクラ量を均等にしながら、
何人に影分身していったとしても、術者の残存チャクラは0に限りなく近づくだけで、
0とはなりません。ですから、なんとか踏ん張れば何人にも影分身ができそうです。

ところが、カカシの説明によると、どうもそれには限界があるらしく、
カカシにはそんなに多くの影分身を作れないようです。
ここから考えられるのは、術者の残存チャクラ量がある一定値c_oを下回ると、
影分身をつくることができなくなるのではないか、ということです。
ということは、n-1人の影分身をつくったとするとき、
これらに均等に分け与えられるチャクラ量の最大値q_{max}は、
q_{max}=\frac{Q-c_o}{n-1}
で与えられます。

2.カカシは何人くらい影分身を作れる?

ナルトはカカシに比べて莫大な数の影分身をつくることができます。
カカシに言わせれば、ナルトのチャクラ量は

俺の約四倍だ。
“九尾”のチャクラをヤマトが抑えなければ、百倍だ。

ということ。仮にカカシのこの見積もりの発言が正しいとして、
一定値、つまり限界値c_oがナルトとカカシで等しいとすると、
36巻のナルトの修行において、200人の影分身をつくっている描写がありますので、
通常状態でナルトが200人の影分身を作ることが限界だとすれば、
200人影分身を作ったあとの術者ナルト本人のチャクラ量はc_o
ナルトが影分身一人に均等に配分したチャクラ量がq_{max}ですから、
ナルトの総チャクラ量Q_{naruto}について、
Q_{naruto}=200q_{max}+c_o
となります。したがってカカシの総チャクラ量Q_{kakashi}
Q_{kakashi}=\frac{Q_{naruto}}{4}=50q_{max}+\frac{c_o}{4}
ここで限界値がc_oですから、この式を変形すると、
Q_{kakashi}=50q_{max}- \frac{3c_o}{4}+c_o
ここでc_o0
端数が出ない(例:〜と4分の1 人)ことに注意すると、
50q_{max}-\frac{3c_o}{4} \lt 50q_{max}
すなわち、

カカシはナルトが200人に配分したチャクラ量と
同じ量のチャクラ量をもつ影分身の数を考えられうる最大で49人つくることができる。

となります。

頑張ればカカシだって非常にたくさんの影分身をつくることができる。

しかし、これはあくまでも多重影分身がチャクラ量のみに依存するとして計算した結果です。
多重影分身が禁術に指定されていることから、チャクラ量だけでなく、
スタミナやその他諸々の因子が多重影分身には必要だと推測されます。
また簡単のため、限界値c_oがナルトとカカシで等しいとしましたが、
ナルトとカカシでは異なってくるでしょう。
それゆえ、実際にカカシがつくることができる影分身は数人程度で、
200人影分身をつくってもまだ余裕なナルトは
九尾なしでも化け物に等しいスタミナとチャクラ量をもっていることが推測されます。
これに九尾なんか加わっちゃったら…(^_^;)