ゴールデンウィークをはさみ、
だいぶ遅れましたが、
ナルトの心意気が気持ちいい628話の感想です!

628『ここに、そしてこれから』

1.ここに、そしてこれから

マダラの《火遁・豪火滅却》、オビトの《火遁・爆風乱舞》。
その火力は辺り一帯を火の海にする程です。
九尾のチャクラを仲間たちに分配し、
ダメージを最小限に食い止めるナルト。
一方でマダラとオビトは輪廻眼と万華鏡写輪眼を駆使し、
徹底的な力の差を見せつけていきます。

「(ナルトのチャクラの衣がなかったら、
  ブタの丸焼き以上になってたよ!!)」

と思わずチョウジも漏らします。

「…ずっと、ナルトのチャクラが、
 皆を守ってくれてる。
 こんなこと続けてて大丈夫なの…?
 ナルト。」

ネジがその命を賭して繋げてくれた想い。
そのためにも、皆を守り抜く姿勢を緩めないナルト。

「上だ、ナルト!」

《神威》の空間移動を使っての上空からの急襲。
カカシの声でようやく寸でのところで気づいたナルトは、
なんとか回避できますが、
さすがに困憊した表情を浮かべています。

「ナルト…。皆を庇い、
 防戦ばかりになってきてるぞ。
 この状況に意味があるのか?」

と嘲笑うようにオビトが言います。

「大丈夫か、ナルト?
 渡したチャクラを一度にコントロールするのは
 無茶すぎる…。すぐにバテるぞ!
 …それに十尾がチャクラをためてやがるよーだ…。
 気ィつけろ!」

と九喇嘛がナルトを気遣います。

「ただ弱っていくだけだな…」

と蔑むようなオビトに、
ナルトがキッとした表情で言い返します。

「一人になりてェ、
 てめーにゃ分かんねーだろうけどよォ…、
 オレの近くに皆が居てくれる…。
 オレはそれがすっげーうれしいんだよ!!
 そんだけで力が湧いてくる!!」

いまのナルトはこの瞬間に共に戦ってくれる仲間たちを
大切なものを守りたい、守ってみせるという意気込みで、
とうに限界を超えていそうな身体を持たせています。

「仲間の死の痛みを繋がりとのたまうなら
 仲間を無理に守る必要がなかろう?」

と小馬鹿にしたようなオビト。
最上の尊敬語までつけて、
さらにもっともらしそうに
疑問文を投げかけてくるとは、
いちいちの意味を理解していなくても、
それが明らかな挑発であることに
さすがのナルトも我慢なりません。

「なァんだよ、ヘリクツヤロー!!
 お前のそーゆーところがめちゃめちゃ
 大ッキライだ!
 そういうこと言ってんじゃねェんだよ。
 ヘリクツバカ!!
 仲間とのことならどんだけ痛くても
 ガマンする、つってんだ!!
 それは捨てたくねーって言ってんだ!!」

本当に大切なもののためなら、
自然とそういう気持ちになれる。
どんな痛みを乗り越えてでも、
この繋がりを守りたいと、大切にしたいと思う
嘘偽りのない湧き上がるような自然な気持ち。
ネジがそうだったように――。

「わがままかもしんねェーけど…、
 ここに仲間が居ねーのが…
 一番痛ェーんだよ、オレは!!!
 以上!!!!!

四の五のを言わせない。
「以上!」という言葉に込められた
ナルトの強き想い。

「しゃーんなろ!!」

ナルトの言葉に奮い立つ一同。
サクラも拳を握ります。

「オビト…。
 お前はナルトで何を確かめてる…」

真意が見えないといった感じで、
カカシはオビトの様子を窺っています。

「…やはり間違いない…。
 このチャクラ…柱間ァ…!!!」

一方、マダラは柱間が
ここに向かってきていることに気付きます。
どういう経緯かは分からないが、
自分と同じように甦り、そしてまた再び戦える…
その状況に胸の高鳴りを抑えられないといった様子です。
それに共鳴するように十尾も
抑えつけられていた力を徐々に解放していきます。
黄土の《土遁・山土の術》も、
すでに跳ね返されつつあります。
辺りを揺るがすような十尾の咆哮。

ナルトヤベーぞ!
 …天変地異をやるつもりだ…!」

と九喇嘛。

「何だよソレ?」

しかしナルトには九喇嘛すら震え上がる
その恐ろしさはまだ伝わっていないようです。

「唯一繋がってたオレと十尾を切るからだ…
 抑えがきかんぞ…。
 もうそろそろ人柱力になった方が
 いいんだろうがな…。」

とオビト。歯止めが効かなくなった十尾は、
ついにその全力を解放します。

「…これからだぞ……。
 楽しいのは!」

とマダラ。

「十尾を今度こそ…消す!」

切迫した事態をいち早く察知していたのか、
十尾を空間ごと掻き消すための
チャクラを練っていたカカシ。

「思ってたようだが、
 それはオレも同じだ、カカシ。」

しかしそうはさせまいとオビトが
カカシに相対します。

「ナルト。こっちをたのむ!!」

ナルトにこの場を任せて、
オビトとの決着をつけるために
異空間へと自ら行きます。
十尾の力の解放とともに、
辺りには暗雲がたちこめ、
激しい落雷と突風、竜巻に豪雨と土砂を巻き込む洪水、
それに伴う強烈な地殻変動地震――
まさに天変地異がナルトたちを襲うのです。