477 『イタチを語るな』

年の瀬も迫り2009年最後の記事となりそうです。
稚拙さや粗が相変わらず目立ちますが、
来年も『NARUTO-ナルト-』という作品を
楽しみながら考えていけたらと思います。

.イタチを語るな

「やはりか…。
 “須佐能乎”……身を守るにはもってこいだな。」

ダンゾウは須佐能乎の障壁を確かめるようにクナイを突き立てます。
一方でダンゾウの不可思議な戦闘スタイルを
香燐は陰から分析し始めます。

「どういう事だ!? さっきので確実に死んだハズ!!
 感知できるダンゾウのチャクラは一つだけ…。
 影分身じゃないのは確か!
 なら…幻術か!?」

香燐ほどの感知の使い手になれば
影分身と本体のチャクラの見分けもつくようです。
しかし、さきほど須佐能乎により圧殺されたダンゾウは、
影分身などではなくダンゾウ本体としか考えられない…ようです。
また須佐能乎の拳に跡形も無く押し潰されたダンゾウ。
しかし、まるで瞬間移動したかのように高台の上に現れ、
サスケを見下ろします。

「サスケの中のチャクラの乱れは感じられないし…
 私のチャクラも安定してる…。
 サスケも私も幻術にかかってる訳じゃない…。
 一体どんな術だ!?」

幻術でもない、影分身でもない…。
実体は一つだけのはずなのに、なぜかあらゆるところから
よみがえったようにダンゾウが湧き出てくる。
これが会談のときに見せた相手の脳内に入り込むかのように、
あたかも術者の意志が自分の意志であるかのように疑似体験させる
というシスイの瞳術によるものなのでしょうか。
つまりダンゾウと五感全てで“知覚”しているものが、
実はまったく違うもの…であると。
しかし、これは“幻術”と全く変わらない性質のもの。
脳内を掻き乱して錯綜させるというよりは、
完全に知覚を誤認させるために、脳内のチャクラは乱れない――?


業を煮やすサスケはすかさず、ダンゾウへ攻撃します。
高台は崩れ去り、土砂舞う中にはダンゾウの姿。
宙空で回避しようがないその位置を見定めたかの如く、
サスケの万華鏡写輪眼は血の涙を流し“天照”を放ちます。

「“須佐能乎”に“天照”まで…。バテるぞ。
 能力を確かめるにしてはやりすぎだな。」

――とトビが心配するほど、
サスケは自分の力を余すことなく最初からダンゾウにぶつける勢いです。
余程、ダンゾウが憎いという感情が先行しているのでしょうか。
しかし決して消えることのない漆黒の炎を受けたにも関わらず、
次に姿を現したダンゾウは炎を纏っていません。
兄弟対決後トビがサスケに語りかけたとき、
イタチの自動天照が発動したときのトビの様子と似ています。

おそらく写輪眼の能力にそういった時空間的なものがあるのでしょう。
完全にサスケの背後をとったダンゾウは、
深く息を吸い込み空気の小塊を弾丸のように飛ばす『風遁・真空玉』で反撃。
サスケは間一髪かわしますが、肩に一撃もらいます。
須佐能乎が解かれ、サスケの姿勢制御が乱れますが、
機転を利かせて肩からの出血を利用して口寄せ。
“鷹”を召還します。

「“天照”…久しぶりに見たな。
 やはりイタチの弟だな。」

一方でダンゾウは天照の漆黒の炎を見て、
懐古の情に浸ってみせるような余裕ぶり。香燐はこのやりとりの間に、
ダンゾウの右腕の写輪眼の一つが瞑<つぶ>る様子を目撃します。

「お前がイタチを語るなと言ってるんだ。」

一方でまさに天照で瞋恚<しんに>の炎を燃やさんばかりの様子のサスケです。

「兄弟…能力は同じとて、
 眼が悟るものはこうも違うものか…。
 うちは一族の犠牲を無駄にしている。

兄に勝るとも劣らない能力を持ちながら、
志はこうも黒く染まるものか――と。
しかし、他ならぬ一族抹殺の指令を出し、
サスケを地獄に突き落とした張本人であるダンゾウが、
“犠牲”という言葉を一族の生き残りであるサスケに
押し付けるように言い放つところは、
流石にサスケも堪忍袋の緒に引火したかの様子。
ダンゾウは『風遁・真空波』を手裏剣の代わりに飛ばしますが、
サスケはこれをものともせず突進し、
喉元をつかまれたにもかかわらずダンゾウを膾斬りに切り刻みます。
切断されたダンゾウの右腕。
徐々にその腕の写輪眼が眼を瞑ります。
何かの術の反撃が来ると予想してサスケは
斬り飛ばされた腕にも攻撃しますが、
何事もなかったように全ての眼が瞑ると、
腕はすっと透明になって消失します。

「無駄だ。」

腕と同様に今までの事象を全て否定するかのように
サスケをまた見下ろすダンゾウ。
サスケは万華鏡写輪眼を見開き、ダンゾウを睨みます。
突如漆黒のカラスがサスケの周囲から飛び立ち、
ダンゾウの目の前で集います。
そしてそこからイタチの姿が――。
須佐能乎、天照と続き次はどうやら月読――でしょうか。