神羅天征と電磁気1〜3】ではたくさん数式が出てきて
何のこっちゃか分からなかった方も、
今回は具体的な話の内容がつかみやすいと思います(たぶん...)ので、
読んでみていただければと思います

0.導入

前回までで、電磁気的に神羅天征という忍術を考えた場合、
その引力や斥力作用は

  • チャクラの密度分布、チャクラどうしの相互作用をうまく操作して莫大な力を得ている術である

という結論を得ましたが、これでは少し抽象的なので、
具体的にどのように発動しているのか、
考えられる2つのケースをイメージ化しながら述べたいと思います。


その前に、一つ。
チャクラを電磁気のお話に還元するために

  • チャクラ荷  ⇔電荷
  • チャクラ流  ⇔電流
  • チャクラ場  ⇔電場
  • チャクラ磁場 ⇔磁場

としていますが、チャクラ流があるからといって電流があるわけでなく、
チャクラ磁場があるからといって磁場が存在しているというわけではありません。
そんなように働くチャクラ間の未知の相互作用があることを前提にしているわけです。
またここでいうチャクラの“陽(+)”と“陰(−)”はチャクラ同士に
反対符号であれば引力作用を、同符号であれば斥力を働かせる作用があると仮定した場合です。
作中で登場する陽と陰とは違う場合があるかもしれませんので、
そこは分けて考えてください。
またはペインがつくる特殊なチャクラがこのような作用をもつとも考えられます。

1.チャクラ密度分布が原因となる場合

さて、この術の発動に際してチャクラ密度分布なるものが出てきました。
これを応用した場合のペインの術の発動を考えましょう。


チャクラ荷\hat{Q}とチャクラの密度\hat{\rho}には次のような関係があるのでした。



【1】チャクラ荷とチャクラ密度の関係


\reverse \hat{Q}=\int \hat{\rho}dV



チャクラ荷\reverse \hat{Q}、チャクラの密度\reverse \hat{\rho}

チャクラ荷というのはチャクラの流れをつくる粒子のようなものだと考えてください。
この関係はつまりチャクラ荷というのはチャクラ密度の総和であるということです。

チャクラ密度が高ければ高いほど、チャクラ荷量が増えて
大きな影響を与えることができるチャクラ荷ができるのです。
この大きな影響を及ぼすものこそチャクラ場のこと。



【2】チャクラ場の発散


\reverse \nabla \cdot \mathbb{\hat{E}}=\frac{\mathbb{\hat{\rho}}}{\epsilon_t}


チャクラ場\reverse \mathbb{\hat{E}}、チャクラの密度\reverse \hat{\rho}

チャクラ場とはチャクラ荷から他のチャクラ荷に与える影響を表したものです。



【3】チャクラ場のチャクラ荷に与える力


\reverse \mathbb{\hat{F}}_1=\hat{Q}\mathbb{\hat{E}}

\reverse \mathbb{\hat{F}}_1、チャクラ場\reverse \mathbb{\hat{E}}、チャクラ荷\reverse \hat{Q}

そしてあるチャクラ荷はその周囲の別のチャクラ荷で生じたチャクラ場と
自身のもつチャクラ荷量に比例した大きさの力を受けるわけです。


これらの関係から、チャクラ荷の密度を操作することによって、
強い作用力を作り出すことができることは分かりました。
しかし実際に、あるチャクラ荷から作り出されたチャクラ場は、
遠く無限遠の彼方まで同じ力を伝えることはできません。
この効果は距離の二乗に反比例するためです。
ここである特定の空間に関して、チャクラ場がペインに向くように
チャクラ荷の“密度分布”を与えるわけです。




この空間にあれば、どこでもペインに向かう強力なチャクラ場があって、
その空間の外ではごくごく微弱な力しか働かないけれども、
空間内部では強力な力が働くのです。
またその空間内で任意の対象に引力か斥力を及ぼしたいとき、
その対象に対してチャクラ場が働く空間よりも高い密度のチャクラを
一瞬で高めて陽または陰を付加します。
こうすれば、この対象の高密度チャクラによってチャクラ場を歪められる前に、
瞬間的に巨大な引力と斥力を及ぼすことができる仕組みです。

2.チャクラ流・チャクラ磁場が原因となる場合

チャクラ流があるとまた話は別になります。
これはアンペール・マクスウェルの法則に準<なぞら>えて



【4】チャクラ場・チャクラ磁場・チャクラ流の関係


\reverse \frac{1}{{\mu}'}\nabla \times \mathbb{\hat{B}}(x,t)={\epsilon}_t \frac{d\mathbb{\hat{E}}(x,t)}{dt}+\mathbb{\hat{i}}(x,t)


チャクラ場\reverse \mathbb{\hat{E}}、チャクラ磁場\reverse \mathbb{\hat{B}}、チャクラ流\reverse \mathbb{\hat{i}}(厳密にはチャクラ流密度)



“チャクラ場の変化とチャクラ流があると周囲にチャクラ磁場が生じる”


チャクラ場の変化とチャクラ流はチャクラ磁場を引き起こします。
このチャクラ磁場とは磁界そのものでなく、
あくまで磁力のような性質を仮定しているものです。
そして、チャクラの流れがつくりだすチャクラ磁場は、
別のチャクラの流れに力を及ぼすというわけでした。



【5】チャクラ流がチャクラ磁場から受ける力


\reverse \mathbb{\hat{F}}_2=\mathbb{\hat{I}}\Delta s \times \mathbb{\hat{B}}


チャクラ磁場からチャクラ流微小部分\reverse \Delta sが受ける力\reverse \mathbb{\hat{F}}_2、チャクラ流\reverse \mathbb{\hat{I}}、チャクラ磁場\reverse \mathbb{\hat{B}}



“チャクラ流は、チャクラ流と垂直なチャクラ磁場から、
 チャクラ流とチャクラ磁場両者に垂直な方向に力を受ける”

というわけです。
つまりチャクラの流れAとBがあって、Aのある部分とBのある部分の
チャクラの流れのベクトルが同じ方向を向いているなら、その部分は互いに引き合う力を、
反対にベクトルが向いているならその部分は互いに遠ざけあう力が働くわけです。




そこで任意の対象のチャクラの流れに対してペインが自身のチャクラの流れをそろえれば引力を、
反対にすれば斥力を得られるというわけです。
こうすれば任意の対象に対して強力な力を働かせることができるのは分かりますが、
ペインの神羅天征は複数の対象に対してそれを可能にしていることに注目しましょう。
ということはペイン自身の周りに複数のチャクラの流れを作り出し、
これを可能にしていると考えられるわけなのですが、
そのような流れがたくさんあると、今までの話の流れでは、
その流れの作り出した磁場どうしが干渉しあって振動したりしてうまく大きな力が得られません。



つまり図のように作用する磁場ベクトルが傾き、その分だけ減衰してしまうというわけです。
ここでこの力の大きさはチャクラ流量とチャクラ磁場の大きさ、チャクラ流の長さに比例することに着目します。
チャクラ流が大きくなれば力も大きくなりますが、複数あるとその分だけチャクラ磁場が乱れ、
結果として引き付ける力は弱くなってしまいます。
そこでチャクラの流れの数を少量におさえ、なおかつ大容量のチャクラ流を起こして、
チャクラ磁場にあるあらゆるものへ引力や斥力を与えると考えるなら、
天道ペイン一体に集中させたときの“神羅天征”は一番解しやすく、次のモデルが考えられます。



ペインは中空に飛翔し、その左中空と右中空で
同回転方向でなおかつ同速度の輪を描くように大容量のチャクラ流を起こします。
すると互いの渦の間にチャクラ磁場が出現します。
次にペインの前後方向へチャクラ磁場の外から大容量のチャクラ流を瞬間的に流します。
このチャクラ流が前から後ろに流れるか、後ろから前に流れるかで、
地上のものがペイン側に引き寄せられるか、遠ざけられるかが決まります。


電磁気ではいきなり磁場が生じると、その磁場を和らげる向きに(=逆向きに磁場ができるよう)
電流が流れるように誘導起電力が生じるというファラデーの電磁誘導則*1がありますが、
チャクラにも同じことが言えるとするならば、
このチャクラ磁場を保つためにペインは、同回転方向でなおかつ同速度の輪を描くように
大容量のチャクラ流を流し続ける必要があります。
加えて全く違う方向から大容量のチャクラ流を流すわけですから、
このように術を解釈した場合、天道ペインに集中させることや疲弊することに納得できます。

図ではペインの位置にも力がかかるので、自分にチャクラ磁場からの力がかからないようにするため、
渦チャクラ流を自分の足元、地上付近に限定することが考えられます。
そのために大規模な神羅天征を使った天道ペインは、
空中に飛んだのだと考えられないでしょうか?

*1:ファラデーの法則については次回に触れます