414 『暴れ牛』

.暴れ牛

八つの尾を持つ巨牛。その威容に慨然とする一同。
八尾から感じられるチャクラの異様さは、香燐に本能的にその危険さを悟らせます。

「敵を刺す♪ 敵刺すロングホーン♪ ウイイイイイイ!!!」

八尾を完全に制圧下においている、
それを仄めかすように尾獣の姿でも唄いはじめます。

「お前は死なせない…。君麻呂の形見だからな。」

重吾の荒療法によってサスケは意識を取り戻しますが、
代わりに重吾が子供の姿へと退行してしまいます。
サスケの回復直後を狙って攻撃しようとする八尾。
寸でのところで水月が水辺である地の利を活かして、八尾を止めます。

「ここはボクがやる。今のうちに逃げろ!」

身を挺して“あんな”三人をかばう自分自身を、
少し可笑しく感じながらも、八尾の攻撃に身構える水月

「ここまでさせといて逃がすか。ばかやろうこのやろう!」

しかし八尾の口の前には凝縮されたチャクラが。
かつてナルトが九尾開放状態の4本目の尾を出したときに、
本能任せに繰り出したあの大技と似ています。
濃縮されたチャクラ塊は八尾のおたけびとともに放物曲面状に広がり、
八尾を抑えていた水流を水月のチャクラごと吹き飛ばします。
それだけでは勢いとまらず凄まじい衝撃。
それを遠くで見守っていた雲隠れの忍二人。

「まさかアレはキラービー様の…」

八尾の人柱力キラービー。本名か通り名かは分かりませんが、
八尾の化け牛を完全にコントロールするだけあって、
人柱力ながらも里の忍からの信望はあるようです。

「キラービー様…何で八尾のお姿に!?
 あれほど雷影様から止められていたのに。」

この台詞から雷影が直に指令を与えるポジションにいるらしいことが分かります。

「! あの衣…“暁”か? アレがユギトを連れ去った…」

二尾の人柱力ユギト。彼女の存在もあって、
なお八尾の人柱力であるキラービーがいること。

「まあ平穏な情勢の中時代も移ろい、
 今や“尾獣”は世界各地に散り散りに存在しておるらしいがの。」

というチヨバアの言葉。
大国とは言え雷の国になぜ二つの尾獣があるのか。
そして雷影はキラービーに八尾に変化することをとめていたことから、
ともすると雷の国・雲隠れの里では二つの人柱力を切り札に、
自国が優位になるような政策を進めていたのかもしれません。

水月がこんなに…くそ!
 逃げ切れないぞ。どうすんだよ!?」

水と同化してもなおその凄まじい衝撃に耐え切れず、
ぴくりともしなくなった水月を見て香燐がサスケに詰め寄ります。
顧みればサスケはいつも“仲間”に助けられていました。
その思いに突き動かされるように、サスケの左眼が血の涙を流します。
天照――。漆黒の業火は八尾を止めることはできるのでしょうか?


一方で徐々に自然エネルギーの存在を掴み始めたナルト。
忍術チャクラでは持ち上げられない蛙の大岩を、
自然エネルギーを組み込んだ仙術チャクラで持ち上げます。

自来也ちゃんの時より飲み込みが早いの。この子は。」

どうやら仙術習得に向けて着実に歩を進めているようです。