408 『フカサクの提案』

1.フカサクの提案(1)

本物はいない、フカサクにも心当たりはないようです。
――というよりも、暗号の内容が漠然としすぎて、
その心当たり、六道ペインと結び付けることができないでいるようです。

「ペインのことで分かっとることはもう話したのう…
 死んでも生きかえるような奴じゃ…
 憶測だけでは何とも言えんし。
 この状態でペインを相手にするのは危険じゃ。
 ちゃんと謎を解かにゃいけん。」

暗号は解けたにしても、そこから意味を見出せない状態。
それでは暗号が解けていないことと等しいということでしょう。

「他の情報の方はどうなんです? 検死と尋問。」

カカシの問いかけにサクラがまだ二つとも時間がかかるみたいだと言います。
いてもたってもいられないナルトは、時間をかけている場合ではないと言いますが、

「尋問はともかく、検死は細胞や組織から検出したものをていねいに
 分析し解析していくものなの! どうしたって時間がかかる!」

というサクラの言葉と、一週間はかかってしまうという綱手の言葉に、
畳み掛けられるように気を落とすナルト。
しかしすぐさま、自来也の仇を討ちたいナルトは、
いてもたってもいられず、急かしにいこうとします。
シズネの邪魔はさせないと口を荒げるサクラにも、いつもと違って譲りません。
そんなナルトを見てフカサクは言います。

「ナルトちゃんよ。今暗号が解読できたところで、お前には何の関係もないじゃろう。
 どっちにしろ今のお前では絶対にペインに勝てりゃーせん。
 だからじゃ…わしに付いてこい。妙木山で仙術の修業*1じゃ。
 自来也ちゃんにたたきこんだやり方でええならのう。」

それでペインに勝てるかと訊くナルトに、分からないが現状のままでは勝てないとフカサクはいいます。

「…エロ仙人にもできたことだろ?
 だったらオレだって負けねェ! やってやる!!」

仙術を修めることは想像以上に厳しい、しかし自信とやる気に満ちたナルトのその表情は、
自信過剰とかそういう嫌味さはなく、
希望と期待をもたらしてくれるような、そんないい表情です。
この子ならできる、フカサクはその表情をみて、
ナルトが予言の子であることをあらためて感じているようです。

2.フカサクの提案(2)

雷の国。暁の衣を身にまとい“鷹”は夜月一族の忍びの一人から、情報を聞き出しています。
雲隠れの額あてをしていることから、夜月一族とは雲隠れに属する忍の一族のようです。

「怯える心にはスキが生じる。」

頑なに情報提供を拒むこの男に、サスケは万華鏡写輪眼を見開きます。
サスケの幻術によって八尾の居場所を喋り出す男。
雲雷峡で修行をしており、八本の剣を持ち右肩に“鉄”の字、
左肩には牛の角の刺青があるようです。

「まったく…さらに便利になってるね…あの眼。
 ますます面倒くさいやつになっちゃったな。」

サスケが八尾の情報をあっさりはかせたことを少々やっかむ水月
香燐はサスケがますますかっこよくなっているという風にとらえ、
一方で重吾は衝動抑えられるようでこの場所は落ち着くと言います。
雲雷峡――
標高が高いところにあるのでしょう。
雲を突き抜け、鉛筆のように尖った山々が剣山のようにあり、
その岩肌には道らしきものと小屋らしきものも見えます。
その一角でしょうか。ドラゴンの石像のようなもの…
歯をむき出し二本の角が生えた蜥蜴<とかげ>のような姿勢をする怪物。
何本もの尾をもっているようで、一つは人間の手の形をしています。
これが八尾でしょうか?
月夜に何か巨大なものが蠢きます。それはやがて収束し人型へ。
昼下がり。テントから出てきた男。
右肩には“鉄”。そして八本の剣。白髪、いかつい図体にサングラス。
顔には民族風のペインティングと、白髭が特徴的です。額あては雲隠れのもの。

「雲隠れの二位ユギトの名にかけて殺す!!」

二尾、ユギトも雲隠れでしたから雷の国には二人の人柱力がいたわけですね。
そして313話『新たなる二人組』(35巻・81ページ)の地図によれば、
飛段、角都コンビは雷の国を探索していたわけですから、
彼らに見つからなかったということは、
相当な秘境に八尾の人柱力はいたことになるでしょう。

「目がいてーよ。
 …光、もう昼かこんちくしょう。
 ばかやろうこのやろう!」

いったいどんな力を秘めているのでしょうか?

*1:【修業】は学問や技芸を習いおさめること、【修行】は学問や技芸を練磨することをいう