1.ゼツの能力の一端(1)

ゼツはあらゆる場所に姿を現すことができ、その場所の様子を観察することができます。
ゼツは自分(本体)というよりは、分身体を出現させ、
その分身体が見聞きした情報を瞬時のうちに本体に伝えることができるという能力のようで、
あらゆる場所を見通せるというよりもあらゆる場所に分身体を出現させられる能力です。
この点でいわば白眼の千里眼能力よりも勝っているでしょう。
白眼の場合はいわゆる透視であり、自分(本体)を中心に見渡します。
また視覚情報のみであり、音や感触、においを捉えることは不可能と考えられます。
ゼツはこれらをも感じることができると思われます。


ゼツは食虫植物のような外見をしていますが、
草原などの植物が生えている場所でなくても、岩場や壁にも姿を現すことができます。
このようにあらゆる場所に姿を現すことができることから、
ゼツは植物が根を張るように大地と一体化していて、
大地と繋がっていれば水辺だろうが建物の内部だろうが、
自由自在に出現できるものと思われます。
裏返せばゼツが出現できないのは、大地と切り離された場所、
例えば空中や雲の上といったものだと思われます。

2.ゼツの能力の一端(2)

29巻29ページ(255話「接近…!!」)でペインがゼツに対して

「それからゼツ。本体で一応外の見張りをしろ。
 一番範囲のデカいヤツでだぞ。」

と言っていることに注目してみます。
ここでいう本体とは幻龍術九封尽中、精神体のようなものをとばして、
術者自体から離れて封印作業を行っていることから、各々の術者自体をさします。
ですからペインがゼツに対して言った「本体での見張り」とは、
封印作業中のゼツ自身が封印作業をする自分と同時に見張りもすることを意味します。
つまり必然的に分身体が必要だということです。注目するのは次の一言。
一番範囲のデカいヤツで
範囲の大小があるようで、これはゼツの考えられる能力と結びつけて考えると、
おそらく分身体が及ぼせる範囲の大小ではないかと考えることができます。
しかし、あらゆる場所に分身体をとばすことができるのではないかと考えると、
こう考えるのは少し奇異です。
なぜなら分身体はあらゆる場所に出現できることから、「移動」することも可能、
すなわち固定状態で及ぼせる範囲が限られていても、
「移動」することによって、その及ぼせる範囲はどこまでも広がるからです。
ここで、もう一度ペインの言ったことに注目すると一番があるということは、
当然そうでないものもあるということです。
これはゼツの分身体に「差異」があることを意味します。
つまりゼツの分身体は影分身などと違って、現われる分身体それぞれに特徴があることに帰結します。
一番範囲のデカいヤツでと限定されるということは、
そうでないもの(範囲が小さいもの)でも見張りができることを暗に含み、
それぞれの分身体に差異はあっても、どこでも出現する能力は共通すると考えられます。
となれば、差異が生ずるのはその出現できる範囲だと言えるでしょう。
以下の図を見てください。


この図のようにゼツの分身体で領域A,B,C,D,Eを監視できるものがいたとします。
例えば領域Aを監視できるゼツ(ゼツAとする)は領域B〜Eを監視できませんが、
領域A内ならどこにでも出現でき、移動も可能だとします。
ゼツB,C,D,Eについても同じだとします。
こうすると一番範囲のデカいヤツはすなわちゼツAのようなものを表すと考えられます。
ゼツはあらゆる場所に出現できるのですが、
出現できる範囲と移動範囲が分身体によって異なるというわけです。
またこうしたゼツのいわゆる分身体が瞬時に作り出され、
本体を基点に移動すると言うよりは、
あらかじめ世界各所に因子として潜り込んでいると考える方が自然です。
そして本体のゼツの意識が作用するとゼツの分身体が出現する――


ゼツの分身体は敵を発見しても自ら戦うことはしませんでした。
つまりゼツの分身体は十分な戦闘能力を有していないと考えられます。
ペインが範囲が大きいもので見張るように指示を出したのは、
戦闘で足止めできないこと、また範囲の境界を跨ぐと新しい範囲を担当するゼツの分身体が
ニョキニョキ生えてくる(笑)分のタイムロスで、見失ってしまう可能性などを考慮した結果でしょう。


ところで、ゼツの分身体同士は情報をリンクしあっていると考えられます。
ゼツの分身体が見た情報は本体を介す必要はなく、またゼツの分身体(精神体?)に送られているからです。
あらゆる場所の監視カメラで見ている多数の映像をそれぞれが(本体も含め)共有しているといえます。
……さて、何か心当たりがありませんか?